実践レポート⑥ プロジェクトの全体的な進め方を解説

実践レポート

不動産投資を進める上で最も重要なのは、プロジェクトの進め方を理解し、実行に移すことです。特に資産家ではない普通の会社員にとっては、融資条件やリスク管理を踏まえて慎重に進める必要があります。ここでは、私自身が実践している進め方をの概要を段階ごとに整理します。

なお、各プロセスの詳細については、今後の記事で時系列に沿ってお伝えできればと考えています。


①年間収入の見立てから始める

まずはターゲットエリアでの年間収入を見積もることから始めます。想定賃料に戸数を掛け、さらに12か月分を算出し、現実的な収益シミュレーションを行います。これが次の判断基準になります。

例)賃料8万円×6戸×12ヶ月=「年間賃料収入:576万円」


②利回りから逆算して事業費を計算する

目標利回りを7%に設定し、年間家賃収入から総事業費を逆算します。この手法により、無理のない投資規模を見極められます。

例)賃料収入576万円÷7%=「事業費:8,228万円」


③建築費と土地代の想定

次に想定建築費を坪単価90万円で試算し、延床面積から算出します。そこから残額を土地代として逆算し、購入可能な土地価格の目安を出します。

例)専有面積20㎡×6戸=120㎡ レンタブル比80% 延床面積:120㎡÷80%=150㎡(45.37坪)「建築費:45.37坪×90万円=4,083万円」

(事業費:8,228万円)ー(建築費:4,083万円)=「土地代:4,145万円」


④土地探しと候補選定

指値を前提に、想定土地代+20%以内で候補地をひたすら探します。6〜9戸のアパートが建つ規模の土地をポータルサイトで調べ、良さそうなものがあれば次の調査へ進みます。

例)想定土地代4,145万円×1.2=約5,000万円以内

ちなみに、この土地探しが一番地道で、約3ヶ月程は毎日3時間ほど様々なサイトを見漁ります。妥協したくなることも多いですが、宝探しだと思って焦らず探し続けます。


⑤詳細調査でボリューム・リスクを見極める

候補地が見つかったら都市計画・道路・ハザード情報を調べます。私が検討する城東エリアは、大きな河川が多く、だいたいハザードには引っ掛かりますが、浸水深が深すぎる立地は極力避けることで、大きなリスクを排除します。

また、建築士ではないので概算となってしまいますが、ボリュームの検討を行います。詳細の確認フローは別の機会でお伝えしたいと思いますが、重要ポイントは「建ぺい」「容積」「高さ」「斜線」です。


⑥収支計画と売却出口の検討

土地が有望であれば、賃料相場や一棟売却相場を調査し、収支表・キャッシュフロー表を作成します。数字を明確にすることで、事業の妥当性を客観的に判断できます。最終的には銀行へのプレゼン資料の一部にもなりますので、ある程度ストレスをかけても収支が成り立つよう組み立てます。

私が作成した収支表・キャッシュフロー表も別の機会でご紹介できればと思います。


⑦業者との交渉と信頼関係づくり

進める価値があると判断したら、不動産業者に資料請求を行い、指値の余地や問い合わせ状況をヒアリングします。同時に現地を訪れ、手土産を持参して面会し、買う意欲と能力を示します。

また、元付業者と直接会うことで、先方にとっても両手仲介のメリットをさりげなくアピールします。(だいたい競合するのは建売業者(アパートや戸建て)なので、あまり刺さらないかも知れませんが。)

ちなみに、建売業者が手を出しづらい土地の特徴なども改めてお伝えしたいと思います。


⑧建築会社への依頼と見積もり

不動産業者から得た資料を建築会社に渡し、ボリューム図と見積もりを依頼します。最初の候補地の時には10社ほどに問い合わせ、相場観を掴みながら信頼できる会社を選定しました。

なお、ネット上で見る話しと比べ、実際に見積もりをとっていくと建築費は全然高いです。資材高騰や人手不足でコストが上がっていることは本業でも認識しておりますが、投資家(施主)側が強気になれる時代ではないのだと感じました。

ちなみに、私は今はコストパフォーマンスが高く信頼できる会社を見つけ、その会社に毎回相談しておりますが、コスト交渉やリスク分散の意味では、もう1社ほどお付き合いしたいとは考えています。


⑨買付と融資開拓

建築会社から前向きな感触を得たら、正確な見積もりが出る前に買付を提出します。買付はスピード勝負です。できれば面前で腹を探りながら最安の金額を引き出したいので、複数パターンを印刷しておき、交渉次第で可能性のある最安を提出するのがポイントです。

その後、ボリューム図と見積書を基に銀行融資の開拓を行います。実際には断られることも多く、粘り強さと精神的なタフさが必要です。私も最初は何度も否認されましたが、粘り強く交渉を続けました。こちらもまた別記事でお話しできればと思います。


⑩契約段階へ進む

買付が通り、融資と建築計画に問題がなければ土地契約に進みます。可能であれば融資特約を付けて早期に契約することが望ましいです。融資の事前審査が完了し契約、本審査の承認までの期間を特約期間として設定する流れです。買付の時点で業者と諸条件を整理しておく必要があります。

ここまで進めば大きな山を越えた段階です。


まとめと次のステップ

不動産投資の成功は立地とボリュームで8割が決まると考えています。残りは建物デザインや仕様が1割、管理会社による客付け調整が1割程度です。つまり、初期段階の見立てと調査を丁寧に行うことが最重要です。この記事を参考に、まずは自分のターゲットエリアで試算や調査を始めてみてください。

次回から、時系列に沿って現在(2棟目)までの具体的な歩みをご紹介していきたいと思います。

 

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