実践レポート⑧ 業者が買わない土地戦略で不動産投資を有利に進めるためのポイント~後編~対アパート業者

実践レポート

不動産投資で安定したリターンを得るためには、単に「利回りの高い土地」を探すだけではなく、業者が買わない土地を見極める力が重要です。この記事では、アパート業者との比較を通して、個人投資家が取るべき「業者が買わない土地戦略」について実践的に解説します。読者が抱く「他の投資家とどう差別化するか」という疑問に答える構成にしています。


アパート業者が狙う土地の特徴を理解する

まず前提として、アパート業者は安定保有を目的としていません。
彼らの目的は、高い利回り設定ができるアパートを建築・販売し、販売益(ディベロップメント利益)を最大化することにあります。

土地を購入する際の最大の基準は「どれだけ高い表面利回りを出せるか」。
個人投資家のように長期保有によるキャッシュフローや資産形成を重視していないため、土地選定の軸が根本的に異なります。

ポイント: 業者のゴールは“売ること”、投資家のゴールは“保有すること”。この視点の違いを理解することが重要です。


狭小プランを採用する理由とそのリスク

アパート業者が好むのは、狭小1Rタイプ(15㎡前後)を最大限に詰め込む設計です。
同じ建物面積135㎡なら、15㎡×9室=9戸のプランを組みます。

想定収益の比較:事業費9,000万円として

  • 賃料設定:6.5万円/室 → 月額58.5万円(年間702万円)
  • 事業費9,000万円に対して利回り 約7.8%

一見高利回りに見えますが、入居付けの難しさ・短期退去リスク・原状回復コスト増大といったデメリットがあります。
つまり、高利回りでもキャッシュフローが安定しないのが実情です。


個人投資家が取るべき中間層プラン戦略

私が狙うのは、23㎡前後の1Kタイプ×6室構成のプランです。
同じ135㎡でも戸数は減りますが、居住スペースにゆとりがあり入居者ニーズにマッチします。

想定収益の比較:事業費9,000万円として

  • 賃料設定:9万円/室 → 月額54万円(年間648万円)
  • 利回り:約7.2%

数値上の利回りは下がっても、入居期間の長期化・空室率の低下・安定稼働といった面で実質リターンは高くなります。

💡 ポイント: 利回りの“高さ”よりも“安定性”を重視するのが個人投資家の戦略です。


業者が買わない土地こそ個人投資家のチャンス

アパート業者は「狭小プランで高利回りが出ない土地」には興味を持ちません。
つまり、容積率を十分に消化できない土地・間口が狭い土地・斜面地などは、業者が敬遠します。

しかし、それらの土地でも設計の工夫次第で中間層プラン(20〜25㎡)を実現可能です。
このような土地こそ、競合が少なく価格交渉余地があり、**個人投資家が優位に立てる「業者が買わない土地」**となります。

🏗️ ポイント: メゾネット・階段下収納・ロフトなどでごまかさず、結局は平面的な床面積が重要。


相場利回りと販売価格の関係を理解する

相場利回りを6%とした場合:

タイプ 年間賃料 販売価格(想定)
15㎡×9室 702万円 11,700万円
23㎡×6室 648万円 10,800万円

業者は販売益を出すため、より高い利回りを狙えるプランを優先します。
一方で個人投資家は、販売価格よりも運用の安定性を重視すべきです。
結果的に、実質的な手残りが多いのは後者の安定型プランです。


業者目線と投資家目線の違いを理解する

業者は「利回りで売る」、投資家は「キャッシュフローで保有する」。
この違いを理解することが、業者が買わない土地戦略の第一歩です。

個人投資家は「販売用の土地」ではなく、「保有に適した土地」を探すべきです。
時に駅距離がやや遠かったり整形地でなかったりしても、設計の工夫と立地理解で利益を生むことが可能です。


まとめ 業者が買わない土地にこそ投資価値がある

「業者が買わない土地戦略」は、単なるニッチ狙いではなく、競争を避けて確実な利益を積み上げる戦略です。
表面利回りよりも、安定稼働・長期入居・低空室率を重視することで、結果的に資産価値の高いアパートを持つことができます。

最後に、土地を探す際は次の3点を意識しましょう:

  1. 業者が敬遠する「設計に工夫が必要な土地」こそチャンス。
  2. 表面利回りよりも実質キャッシュフローを重視する。
  3. 入居者の快適性を最優先にする。

不動産投資で成功するためには、業者の思考を理解し、あえて逆方向で勝負する勇気が必要です。
その一歩が、あなたのポートフォリオに確実なリターンをもたらすはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました